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浄化槽の仕組み|沈殿・嫌気・好気・消毒の4工程と処理水質

要点まとめ
  • 合併処理浄化槽は沈殿→嫌気→好気→消毒の流れで生活排水を処理。環境省は嫌気ろ床槽で固形物除去と嫌気性微生物、接触ばっ気槽でブロワばっ気と好気性微生物の生物膜浄化と説明。
  • 浄化槽システム協会(5~10人槽)では嫌気ろ床第1室にろ材40%・第2室60%、接触ばっ気槽に接触材55%充填、比表面積50m2/m3以上。消毒槽は15分以上滞留後に放流。
  • 放流基準の帯:長野県事務手引きはBOD20mg/L以下・除去率90%以上、高度処理は5mg/L。フジクリーン資料では通常型BOD20mg/L、高度型BOD10mg/Lの例。
  • 槽の名称はメーカーで「接触ばっ気槽」「好気ろ床槽」「活性汚泥槽」など異なる——型式認定書で自分の槽を確認する。
  • 維持はブロワー・保守点検・清掃・法定検査がセット。
2026年10月18日 更新——メーカー図面の槽名で追う

小型合併浄化槽の説明はメーカーごとに槽の名前が違うが、順序は同じである。第一に夾雑物除去槽(分離槽)で汚水中の夾雑物や油脂などを固液分離して貯留し、重い汚泥は下に沈殿し軽い水は上に浮く。第二に嫌気ろ床槽で、酸素を必要としない嫌気性菌が有機物を分解し、第1室から第2室に汚水が移って同様の手順で浄化され、最終的にはメタンガスや硫化水素と気体にまで分解するので処理後の汚泥が格段に少なく済む。第三に接触ばっ気槽で、大量に酸素を必要とする好気性菌のためにブロアー(送風機)が汚泥を攪拌して空気を送り込み、2箇所の嫌気ろ床槽を通過しても残る有機物を分解速度の速い好気性菌が分解し、アンモニア態窒素の硝化も行う。第四に沈殿槽で、活躍した微生物やバクテリア、まだ残る浮遊物が沈み、分離された固形物は第一の槽に移送して貯留する。第五に処理水槽で処理水を一時的に貯留し、最後に消毒槽で固形塩素剤などにより処理水中の細菌を除去して放流する。4工程に丸めた説明では「分離槽・ばっ気槽・沈殿槽・消毒槽」となる。

「浄化槽の仕組み」——検索すると、嫌気・好気・沈殿・消毒という語は出てきますが、どの槽から水が入り、何がどの順で起きるかは記事によって並びが違います。ここでは公的資料と業界団体・メーカー資料に共通する4工程を軸に、数値つきの構造例と放流基準の範囲を整理します。

4つの工程——事務手引きの型

長野県の「浄化槽の事務手引き」は、処理の流れを4段階に分けています。

①固形物の分離・貯留——排水中の固形物を沈殿や濾過で分離し、貯留槽では嫌気性微生物(水中に酸素が溶け込んでいない状態で生育する微生物)によって有機物が分解される。

②汚れ(有機物)の分解——好気性微生物(水中に酸素が存在する状態で生育する微生物)によって有機物を分解する。

③処理水中の浮遊物の分離——処理水中の固形物(SS)を沈殿で分離し、分離された固形物は①に移送して貯留される。

④細菌などの除去(消毒)——固形塩素剤などで、処理水中の細菌を除去(消毒)する。

この4段階は、環境省の「自然にやさしい浄化槽のひみつ」の槽名(嫌気ろ床槽・接触ばっ気槽)や、メーカーごとの槽構成図を読むときの骨格になります。

嫌気ろ床槽——固形物と嫌気性微生物

嫌気ろ床槽は「けんきろしょうそう」と読みます。環境省の嫌気ろ床槽の解説では、汚れた水に含まれる浮遊物(固形物)をろ材がとり除くほか、酸素を必要としない嫌気性微生物が汚水中の有機物を分解し浄化します。第1室から第2室に汚水が移り、さらに同様の手順で浄化されます。

浄化槽システム協会(一般社団法人)の5~10人槽資料では、生活排水は最初に嫌気ろ床槽へ流入します。嫌気ろ床槽は2室構成で、第1室には概ね40%、第2室には概ね60%のろ材が充填されています。ろ材は嫌気性微生物を保持し、粗大な固形物や浮遊物を補足します。補足された固形物等は嫌気性微生物で分解され、余剰汚泥を1年間貯留する機能もある——と記載されています。

合併浄化槽は微生物の働きにより水をきれいにするという、簡単な仕組みながら、すばらしい働きをします。微生物に負荷をかけないよう、過剰に洗剤や殺菌剤を使うことをしないよう気を付けたいと思います。

【福岡県公式】ふくおかインターネットテレビ · 身近な水をきれいにする浄化槽【岡澤アキラのふかぼりっ!福岡県】

微生物が主役——この理解は正しい一方、洗剤・殺菌剤の過剰使用は好気槽の生物膜を弱める。臭いの記事でも触れるように、日常の排水習慣が処理の成否に直結します。

接触ばっ気槽——ブロワと好気性微生物

環境省の接触ばっ気槽の解説では、液体と空気を接触させて液体に酸素等を吹き込むことをばっ気といいます。接触ばっ気槽では、接触材に付着する生物膜(好気性微生物)を利用して、ブロアにより汚水をばっ気しながら接触材に循環接触させ、汚水中の有機物をさらに浄化しています。

浄化槽システム協会の資料では、嫌気ろ床槽からの汚水を接触材表面に付着している微生物がさらに分解浄化します。接触材は接触ばっ気槽の容量に対して55%程度充填し、比表面積は概ね50m2/m3以上。接触材に肥厚した生物膜を剥離するため逆洗装置を有し、沈降した汚泥はエアリフトポンプにより嫌気ろ床槽第1室に移送する構造——とされています。

ブロワーが止まると好気処理が止まる——ばっ気と電気代は仕組み理解の次に押さえるポイントです。

槽の順番 ①夾雑物除去(固液分離・貯留)②嫌気ろ床(嫌気性菌、第1室→第2室、メタン・硫化水素へ)③接触ばっ気(好気性菌、ブロアー、硝化)④沈殿(固形物を①へ移送)⑤処理水槽⑥消毒(固形塩素剤)。4工程版:分離・ばっ気・沈殿・消毒。 告示の3方式 昭和55年建設省告示第1292号は50人以下の合併処理浄化槽に3方式を定める:分離接触ばっ気方式(沈殿分離槽→接触ばっ気槽→沈殿槽→消毒槽)、嫌気ろ床接触ばっ気方式(嫌気ろ床槽→接触ばっ気槽→沈殿槽→消毒槽)、脱窒ろ床接触ばっ気方式(脱窒ろ床槽→同)。違うのは最初の槽だけ。嫌気ろ床槽は2室以上を直列に接続し、5人以下で有効容量1.5立方メートル以上。告示にない方式名は、同等以上の効力があるとして国土交通大臣の認定を受けた型。
槽・工程主な役割(出典の整理)構造の数値例
嫌気ろ床槽固形物補足・嫌気分解ろ材充填40%/60%(2室)
接触ばっ気槽好気性微生物による分解接触材55%、50m2/m3以上
沈殿槽上澄みと汚泥の分離汚泥は接触ばっ気槽へ返送
消毒槽塩素等による殺菌15分以上滞留して放流

沈殿と消毒——放流直前の仕上げ

浄化槽システム協会の説明では、接触ばっ気槽の処理水は沈殿槽内で上澄み液と固形物に分離され、固形物は接触ばっ気槽に自然返送されます。上澄み液は消毒剤と接触し、消毒槽にて15分以上滞留した後に放流されます。

鹿児島市の公表も、微生物により分解・消化された有機物は汚泥となって沈殿し、浄化された水は消毒槽で消毒されてから放流される——と短くまとめています。

株式会社スリーケーの解説では、接触ばっ気槽で浄化された汚水は沈殿槽へ流れます。上澄みが消毒槽へ溢れ、塩素で病原菌などを消毒して河川や用水路へ放流される——と、住宅所有者向けに順序を描いています。

説明が食い違う理由——先に分離槽がある型

矛盾として資料内でも指摘されているのは、最初の槽の位置です。

環境省、浄化槽システム協会、スリーケーなどは、生活排水が最初に嫌気ろ床槽へ入り、固形物の分離と嫌気処理が同時に進む——という説明が並びます。

一方、フジクリーンの新型構造資料(CE型・CFⅡ型など)では、最初に夾雑物除去槽や沈殿分離部で油脂・粗大ごみを固液分離します。その後の槽で嫌気ろ床と好気ろ床の処理を行う——と、分離と生物処理が別槽になります。

好気処理の名称も、接触ばっ気槽(環境省)、活性汚泥槽(業者記事)、好気ろ床槽(フジクリーン)など型式により異なります。どちらが「正しい」ではなく、認定型式ごとに図面が違う——この前提でマンホールを開けて確認してください。

告示の3つの方式——方式名から槽の並びを読む

カタログや検査結果書に書かれた長い方式名は、槽の並び順をそのまま表しています。構造の基準は昭和55年建設省告示第1292号で、処理対象人員50人以下の合併処理浄化槽について、次の3つの方式を定めています。

告示の方式名槽の並び(告示の文言どおり)
分離接触ばっ気方式沈殿分離槽→接触ばっ気槽→沈殿槽→消毒槽
嫌気ろ床接触ばっ気方式嫌気ろ床槽→接触ばっ気槽→沈殿槽→消毒槽
脱窒ろ床接触ばっ気方式脱窒ろ床槽→接触ばっ気槽→沈殿槽→消毒槽

違うのは最初の槽だけで、後ろの3つは共通です。告示は嫌気ろ床槽を「2室以上に区分し、直列に接続すること」とし、有効容量は5人以下で1.5立方メートル以上、6人から10人では「1.5+0.4(n-5)」で計算します。7人槽なら2.3立方メートルが下限となります。

一方、カタログにはこの3つと違う方式名も出てきます。東京都の指導要綱の表は、50人以下の合併処理浄化槽を2種類に分けています。告示の「第1第一号、第二号、第三号に基づく構造を有するもの」と、それと「同等以上の効力を有するものとして国土交通大臣の認定を受けたもの」です。告示の3つにない方式名であれば後者の認定型ということになり、槽の並びは型式ごとの維持管理マニュアルで確かめます。

浄化槽管理部に就職しました。浄化槽ごとに仕組みが違いどこで汚泥測定するとか、どう処理水がながれているかとかまったく分かりません。 浄化槽管理士の方々はどうやって覚えて点検管理しているのでしょう? 良かったら経験談やアドバイスください。

いなかの浄化槽 · 【ダイキXE型】浄化槽清掃を怠ると大変!5人槽の清掃手順紹介

型式ごとに流路が違う——新入りの管理担当者のこのコメントが、一般の持ち主にも当てはまります。型式認定番号とメーカーの維持管理マニュアルが、仕組み理解の入口です。

40%/60%嫌気ろ床槽のろ材充填(第1・第2室)
55%接触ばっ気槽の接触材充填率
15分以上消毒槽の滞留時間(協会資料)
BOD20mg/L以下放流基準の一例(環境省・長野県)

放流基準——BODの範囲と高度処理

処理の仕組みを理解したあと、最終的に何mg/Lまで下げるかが次の疑問になります。

環境省の参考資料(単独から合併への転換)では、維持管理の費用例とあわせてBODが20mg/L以下とされています。長野県の事務手引きはBOD20mg/L以下・BOD除去率90%以上、全窒素(T-N)10mg/L・全りん(T-P)1mg/Lの記載があります。

フジクリーンの性能評価型と構造基準型の比較では、通常型BOD≦20mg/ℓ・T-N≦20mg/ℓ・T-P≦1mg/ℓ、高度処理型BOD≦5mg/ℓ——と、型式で放流基準が変わります。浄化槽システム協会の5~10人槽資料では、流入水質の例としてBOD濃度200mg/L、放流はBOD15mg/L以下・SS10mg/L以下・T-N20mg/L以下などが並びます。

全国の浄化槽推進・市町村協議会の資料では、放流BOD5mg/L以下の高度処理の説明と、原水BODの段階(1,000,000mg/Lから40,000mg/Lなど)が併記されています。20mg/Lと5mg/Lのどちらが自分の槽に当てはまるか——認定性能を管理手帳で確認するのが確実です。

仕組みと維持のセット——清掃・点検・法定検査

仕組み上、貯留槽の固形物は一定期間ごとに引き出す必要がある——と事務手引きは①で明記しています。これが年1回の清掃の根拠です。

保守点検はブロワ・逆洗・水量の確認、法定検査は処理水質の適合確認——仕組みの各段階が年間スケジュールに対応します。合併と単独の違い・人槽の算定は設置前、設置費用は計画段階で別記事を読んでください。

最初の槽は何をする?

夾雑物や油脂を固液分離して貯留し、汚泥は沈み水は浮く。

嫌気ろ床槽の働きは?

酸素を必要としない嫌気性菌が有機物を分解し、第1室から第2室へ順に浄化する。

なぜ汚泥が少なくなる?

最終的にメタンガスや硫化水素と気体にまで分解するから。

ブロアーはどの槽で使う?

接触ばっ気槽。好気性菌のために汚泥を攪拌し空気を送る。

沈殿槽の固形物はどこへ?

第一の槽に移送して貯留する。

消毒は何で行う?

固形塩素剤などで処理水中の細菌を除去する。

処理水槽の役割は?

処理水を一時的に貯留する。

硝化とは?

接触ばっ気槽でアンモニア態窒素を硝化すること。

4工程版の名前は?

分離槽、ばっ気槽、沈殿槽、消毒槽。

よくある質問

嫌気ろ床接触ばっ気方式とはどんな浄化槽ですか?

昭和55年建設省告示第1292号が定める合併処理浄化槽の方式の一つで、嫌気ろ床槽、接触ばっ気槽、沈殿槽、消毒槽をこの順序に組み合わせた構造です。最初の嫌気ろ床槽で固形物を捕まえて嫌気性微生物が分解し、接触ばっ気槽でブロワーの空気を受けた好気性微生物がさらに分解します。嫌気ろ床槽は「けんきろしょうそう」と読みます。

浄化槽の仕組みを一言で言うと?

生活排水(トイレ・台所・風呂・洗濯)を、沈殿で固形物を分け、嫌気性微生物と好気性微生物で有機物を分解し、最後に消毒して河川等へ放流する仕組みです。鹿児島市の公表では、微生物により分解・消化された有機物は汚泥として沈殿し、浄化された水は消毒槽で消毒されてから放流されると説明されています。

嫌気ろ床槽と接触ばっ気槽の違いは?

環境省のイラスト解説では、嫌気ろ床槽ではろ材が浮遊固形物をとり除き、酸素を必要としない嫌気性微生物が有機物を分解します。第1室から第2室へ移り、同様の手順で浄化されます。接触ばっ気槽では、接触材に付着する好気性微生物の生物膜を利用し、ブロワにより汚水をばっ気しながら接触材に循環接触させ、有機物をさらに浄化します。

沈殿槽は何をする?

浄化槽システム協会の5~10人槽資料では、接触ばっ気槽の処理水は沈殿槽で上澄み液と固形物(浮遊物・剥離汚泥)に分離され、分離された固形物は重力により接触ばっ気槽に自然返送されます。長野県の事務手引きでは、処理水中の固形物(SS)を沈殿で分離し、分離した固形物は貯留槽へ移送すると整理されています。

消毒槽では何が起きる?

長野県事務手引きでは、固形塩素剤などで処理水中の細菌を除去(消毒)するとされています。浄化槽システム協会の資料では、上澄み液は消毒剤と接触し、消毒槽にて15分以上滞留した後に放流されます。株式会社スリーケーの解説では、上澄みが消毒槽へ溢れ、塩素で病原菌などを消毒して放流すると説明されています。

放流される水のBOD基準は?

環境省の参考資料ではBODが20mg/L以下とされる例があります。長野県事務手引きはBOD20mg/L以下・BOD除去率90%以上、高度処理では10mg/L・5mg/Lの記載もあります。フジクリーンの性能比較では通常型BOD≦20mg/ℓ、高度処理型BOD≦5mg/ℓ。設置されている型式(構造基準型・性能評価型)で基準が異なります。

なぜ説明が記事ごとに違うのですか?

最初の工程が「嫌気ろ床槽から始まり分離と嫌気が同時」とする出典(環境省・浄化槽システム協会)と、「夾雑物除去槽・沈殿分離槽で先に固液分離してから嫌気・好気へ」とするメーカー資料(フジクリーン等)が並びます。好気処理の槽名も接触ばっ気槽・好気ろ床槽・活性汚泥槽など型式により異なります。自分の槽は型式認定書とメーカー図面で確認してください。

松本 大輔

浄化槽・生活排水 調査編集

浄化槽法や自治体の要綱、メーカー資料、実際の見積もり、そして持ち主の体験談を突き合わせて、浄化槽と生活排水処理の独立系ガイドを執筆・編集しています。業者でも販売店でもない立場から、費用と義務の「本当のところ」を整理するのが仕事です。

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